介護スタッフ鈴木さん(30代)
業界未経験
「冷蔵庫にこれしかないけど、どうにかなる?」
そんな一言をきっかけに、鈴木さんの“本領”が静かに発揮される。
料理人として積み上げてきた経験と、訪問介護という新たなフィールド。
その両方を、まるで自然に行き来する彼の姿に、利用者様も、そしてスタッフも、信頼を寄せている。
訪問介護の世界に飛び込んだのは、全くの未経験からだった。
「調理の仕事を長くやっていたんですが、今後のことを考えたときに“もっと人の役に立てる仕事”に就きたくなったんです。
そんな時にこの会社と出会って、条件も人間関係もすごく良さそうで。“ここなら頑張れそうだ”と思いました。」
実際に働き始めてみると、不安よりも馴染みの早さが印象的だったという。
「現場の雰囲気がとても良くて、わからないこともすぐに聞ける環境でした。
“話しやすさ”って、こんなにも心を軽くするんだなと実感しました。」
特筆すべきは、彼の料理の腕。
単なる“ちょっと得意”ではない。きちんと国家資格を持った“本物の料理人”だ。
「ご利用者さんのご自宅にある食材で、一緒にごはんを作ることもあるんです。
“こんなものから、こんな料理になるの?”って驚かれることも多くて(笑)。」
ふとした日常に、ちいさな感動を。
それは介護の現場で、思いがけず喜びの連鎖を生んでいる。
「料理って、その人の体調や気分に合わせられるからこそ、すごく奥深い。
“あなたが作るご飯が一番おいしい”って言われたときは、嬉しかったですね。」
料理にも通じる姿勢が、介護にも生きている。
「大切なのは、その人のペースに合わせること。無理をさせない、でも、できることは引き出す。
料理も介護も、相手のことをよく見て、引き算していく感覚が似ていると思います。」
鈴木さんのケアには、どこか“余裕”がある。それは、技術というよりも“姿勢”の問題なのかもしれない。
一見、淡々と話す鈴木さんだが、職場への信頼については少し熱を帯びる。
「管理者が本当に頼りになるんです。困ったときはすぐに連絡がつくし、こまめに様子を見てくれる。
だから、自分の仕事に集中できるんですよね。」
そして、収入面でも確かな手応えを感じている。
「前職と比べて収入も大幅にアップしましたし、評価してもらえている実感もあります。
がんばった分が、ちゃんと反映される職場だと思います。」
キャリアのこれからを聞くと、静かにこう答えてくれた。
「大きな目標よりも、“この人がいてくれて助かった”って思ってもらえる存在でありたいです。
料理もケアも、まだまだ磨ける。少しずつ、できることを増やしていきたいですね。」
最後に、未来の仲間へのメッセージをお願いすると、彼らしく、やさしい言葉を返してくれた。
「不安があるのは当然。でも、ここにはちゃんと支えてくれる仲間がいます。
経験よりも大事なのは、向き合う気持ちだと思います。人生のどんな経験も、きっと活きる場所ですよ。」
—「料理」と「介護」。
その2つを当たり前のように融合させている鈴木さんは、まさに現場にとって“安心できる人”。
今日もどこかで、支援者様の心と体を温める一皿を届けている。